ポラン広場全国事務局 石井京子 3月30日の報告会は、今回のコーデックスNGO行動の総括集会として、主にコーデックス委員会バイオテクノロジー応用食品特別部会の報告を中心に開催された。 しかし、今回の特別委員会においてもこの宮城島氏が日本政府代表団の中でGM推進派のキーパーソンとして中心的に発言し、あるいは態度を明確にせず、極めてアメリカ寄りの姿勢を貫いたこと。このような日本代表団の態度は、議長の吉倉氏にも大きく影響を与え、昨年のようなキレの良い進行ができない要因になったことなどお話しいただき、何としても宮城島氏を辞めさせなければならないとアピールされた。 田坂先生と同じCI(国際消費者機構)代表団の一人として参加した南アメリカのサミエル氏からは、トレーサビリティ(追跡可能性=食卓から畑まで、全ての流通過程をたどれることを保証するシステム…例えばバーコード管理)についてフランスがまとめた明快な文書に対し、アメリカ・カナダ・オーストラリアなど生産国が、わけがわからないとして説明を求め、会議の引き延ばしを図ったこと。そして彼の国の政府が生産国としてアメリカを指示したことなど報告し、結果、括弧付きでトレーサビリティの文言は残ることになったものの、食の安全性ではなく、ビジネスの立場をとった政府への働きかけを表明した。 また、コーデックスは多数決で決めることをせず合意をとる形で進められるが、今回のトレーサビリティのように、大多数がその必要性を主張しているにもかかわらず、会議の時間の大半をこの議論に費やしたことについて、「多くの国の多くの苦労が水の泡にならないように、建設的に進むように努力する必要がある。途上国の多くの国は経済的な理由から会議に参加できず、結果、途上国の立場を含む議論がされない。アフリカは、ナイジェリアと南アメリカの政府代表が来たが、7月と10月の小委員会には一人も参加できなかった」とコメントし、先進国中心のコーデックス委員会そのもの問題点を指摘した。 キャンペーンニュースの海外報告でお馴染みの、アキコさんのパートナーであるマーティン・フリッド氏は、スウェーデン政府代表として参加。克明なメモを基に、討議のプロセスと各国政府がどのような立場をとったかを報告いただいた。特にGM食品と比較する「伝統食品」の中に、すでに市場化された遺伝子組み換え食品を入れ、実質的同等性の範囲を広げようとするアメリカ・カナダの主張に対して、ノルウェーが安全に使用してきたという歴史はないと発言。インド・タイはこの意見に賛成し、オーストラリアもGMを含めることに対しては反対の姿勢を貫いた。 中国はEUと同じ意見を表明し、韓国は輸入国の立場から、輸入食品から十分な情報が得られないとこれに反対した。しかし、日本は輸入国であるにもかかわらず、輸出国の意見を支持。結局「当面はバイオテクノロジー食品は含めない」と脚注を入れることになったそうだが、スターリンク事件があったにもかかわらず、トレーサビリティーの必要性に対しても態度を明確にしなかったという報告とあわせて、日本政府は遺伝子組み換え食品に不安を抱える市民の安全性を確保する立場に立っていないことだけは明白になった。 ハーモナイゼーションについての報告は、改めてコーデックスへの取り組みの重要性を再認識させられた。例えばEUは厳しい基準を作って輸入を規制しているが、WTOは国際基準が優先すると主張する。コーデックスで緩い基準が決まってしまえば、輸入を拒否できない。既に厳しい基準を持っている国は、国内法規制が活かせるような弱い言葉に置き換えるべく、緊張した議論になったという。基本的には、国内でいかに厳しい基準を勝ち取っていくかが重要だが、同時にコーデックスの基準にどのように反映させていくかが、問題である。 スイスで活動しているグリーンピースのブルーノ氏は、「既に遺伝子組み換え食品が市場に出ていることは認めざるを得ない。だからこそ、環境・人間・動物に対する有害な影響がないような、厳しい安全基準を設けるべきだ」と主張しつつも、コーデックス委員会には非常に悲観的で、意味ある安全性評価になると思えないとも言う。5年・10年かけて安全性を議論している間に、モンサントは各国政府に働きかけ、GM作物の畑を広げていく。フィリピンのゴールデンライスしかりだ。鹿島に向かうバスの中で、ブルーノ氏が発言した「日本で負けたらアジアは負ける。東南アジアはGMライスに席巻されるだろう。日本はそういう意味で戦略的に重要な地域なのだ」という言葉が胸に突き刺さっている。 1週間にわたるNGO世界行動は、世界の食と農業の有り様を再認識する貴重な機会であり、同時に、厚生省への情報公開要請や表示の拡大獲得など、具体的な働きかけと運動の必要性を痛感させられる機会となった。今回、ほとんど沈黙したマスコミに替わり、来年に向けて「伝えていくこと」から始めたいと思っている。 |