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| 遺伝子組み換えイネ差し止め裁判 |
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東京高裁 抗告棄却!
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| 食政策センター・ビジョン21 安田節子 |
農水省はバイテク推進政策のもと、イネゲノム解析研究で優位に立つ日本はGMイネでなら特許を押さえることができるとみてGMイネ開発を強力に進めてきた。
各地の農業研究機関で野外栽培実験が行われるようになっているが、市民の反対によって中止に追い込まれ、また、北海道のように独自の規制条例を制定するところも出てきた。こうした動きに危機感を抱いたのか、今年予定されていた北陸研究センター(上越市)、東北大学(仙台市)、農業生物資源研究所(つくば市)は、地元の強い反対にもかかわらず、いずれも田植えを強行した。
<北陸研究センターの野外栽培実験>
北陸研究センターのいもち病・白葉枯病耐性イネの野外栽培は2回に分けて行なわれた。
第1回の田植えを5月31日に強行し、第2回目が6月末と発表された。それでなんとしてもこれを止めさせなければ風評被害や、花粉による遺伝子汚染など取り返しがつかなくなるとの思いから差し止め仮処分裁判を神山美智子弁護士に相談した。6名の弁護士さんによって弁護団が結成された。総勢12名(後に13名)の原告団結成も成り、6月24日に急遽申立を新潟地裁高田支部に行なった。第1回審尋のあった翌日にセンター側は第2回目の田植えを強行した。
<争点>
交雑防止策とイネが産生する抗菌物質ディフェンシンに対する耐性菌出現が起こりうるかが争点となった。
1)交雑防止策
農水省の野外栽培指針にある交雑を起こさない距離的隔離20mというデータは、たった2株の実験によるもので、データは極端に少なく科学的根拠とするに足るものではない。今年4月、25.5mで交雑したという論文が出て26mに改定される有様だ。
時間的隔離(一般農家のイネとの出穂期間を2週間ほどずらす)も、実際のズレがわずか1日しかないと認めた。するとセンター側は裁判後半に物理的防止一点にかけてでた。当初、「袋掛けするかまたは栽培区を不織布等で覆う」としていたのを、GMイネにパラフィン袋をかぶせ、下はビニールシートで包んで紐でしばる、さらにGMイネ植え付けの田全体を不織布で覆うという。これでは野外栽培実験のまっとうなデータがとれるはずがない。しかも袋に穴が開いたり、下からネズミや昆虫などが出入りしたり、観察のために出入りする人の衣服に付着するなど交雑防止は万全とはいいがたいと生井兵治氏は指摘された。実際その後の写真撮影によって穴あき、破れがいくつも見つかっている。
2)耐性菌出現の問題
さらに今回初めてクローズアップされた重要なのが、ディフェンシン耐性菌の問題である。植物や昆虫、人間も含めた生物の多くが細菌やウイルスに対する最初の生体防御機能としてディフェンシンが必要に応じて生産される。しかし、ディフェンシンを常時作り続けるように加工されたGMイネではディフェンシンに頻繁に接触することで微生物は必然的に耐性を獲得する。
このリスクを指摘する微生物専門家の金川貴博さん(元・東京工業大学大学院教授)らの陳述書に対し、7名もの研究者が支持する見解を直ちに裁判所に提出してくれた。しかし、8月17日に却下の判決が下りた。
裁判官は「交雑の可能性は低い。自然界で、これまでに耐性菌の報告はない」という相手主張を採用した。科学的認識と、GMの予測不可能性、回復不可能性という特性を踏まえた予防原則の認識に欠けるものだ。
即日東京高裁に抗告をした。
<東京高裁での争点>
東京高裁に移って、交雑能力の時間については花粉の寿命5分を主張する相手方に対し、こちらは5分は人工交配をする場合に100%生殖能力を期待する場合であって、生物学的に見た場合花粉個体によってはずっと長く生殖能力を持続するものもあり、野外実験においてはそのことを考慮する必要があるのだとする生井氏の主張を提出した。また、ディフェンシン耐性菌の出現については東大の木暮一啓氏が陳述書で改めて指摘。
アキコ・フリッドさんが海外に発信してくれたお陰で、海外の研究者から金川陳述書を強く支持し、この危険な実験をする愚行を止めるべきとのメールが何通も寄せられた。
さらに野外栽培承認申請書の虚偽申請が明らかになった。カラシナの遺伝子として記載されていたGenBankの登録番号はコマツナのものであったのだ! 虚偽申請である以上、この認可は無効のはずと主張。なお、北陸研究センター、農水、環境省へ質問状提出も行った。
10月12日東京高裁から抗告棄却の決定が出された。交雑の可能性はなく、ディフェンシン耐性菌の出現は杞憂、虚偽申請を誤記であり、審査に差し障りはないと断定する内容。相手方専門家の陳述書の基本的誤りを指摘した、こちら側の研究者による指摘の正当性はしろうとの私が読んでもわかる明白なものであったが、理解しようとした形跡はみられなかった。稲刈りをもって抗告を棄却とするはじめから結論ありきの杜撰、空疎、怠慢判決であった。最高裁への抗告や本訴、来年度も予定されている野外実験の差し止め仮処分を含め、現在、検討中だ。
なお、この裁判は県民の高い関心を集め、新潟県が栽培規制条例の検討を始めるきっかけとなった。また、新潟県市長会が中止を求める決議をしたり、津南町議会、南魚沼町議会、五泉市議会なども中止決議を採択するなどの動きがひろがることにもなった。
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会計 松田裕
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