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GM小麦はいらない!

GM小麦の反対運動を
塚平 広志


  パン、うどん、ラーメン、スパゲテイ、菓子などの原料である小麦は、米に次ぐ主要な食糧で毎日の食卓に欠かせません。しかし国産はわずか1割に過ぎず、大部分はアメリカ、カナダなどからの輸入に依存しています。

 この輸入小麦は、ポストハーベストの農薬漬けで、その安全性が以前から大きな問題になっています。ところが今度は、それに加えて遺伝子組み換え(GM)小麦の商品化の動きが、アメリカ、カナダなどで激しくなっています。

 もしも輸入が大部分の小麦がGM化されたら、自給中心の米とは違い、その及ぼす影響は極めて重大で、日本人の食卓は、否応なしにGM食品漬けにされてしまいます。
 そこで日本における小麦の現状―その影と光―について見てみましょう。

 国家貿易で、米,加、豪から9割を買い付け
 日本で1年間に消費される小麦の量は、約630万t。世界でも有数の消費国です。
 このうち国産小麦は,わずかに11%で約688,000t。残りの89%、5,680,000tが輸入でまかなわれています。国別の輸入量は、アメリカから53.7%、カナダから26.8%、オーストラリアから19.4%、その他0.1%(2002年、貿易統計)となっています。

 小麦は、含まれているたんぱく質の質と量によって、硬質小麦(パンや中華めん向き、カナダ、アメリカ産)、軟質小麦(ケーキなど菓子向き、アメリカ産)、中間質小麦(茹めん、乾めん向き、オーストラリア、国産)、デュラム小麦(マカロニ、スパゲテイ専用、カナダ、アメリカ産)に区別され買い付けられます。

 小麦の輸入は、食管制度廃止後の新食糧法によって、「主要食糧の安定供給を図る」との名目で国家貿易になっています。国が製粉会社からリクエストした小麦の種類と量を輸入商社に委託して買い付け、輸入し、港で売り渡す仕組み。つまり農水省が、大手製粉会社の代理人になってアメリカやカナダから小麦を安定的に輸入しているのです。

その一方、国産小麦について農水省は、98年に「新たな麦政策大綱」を策定。それまで行なってきた麦の全量買い入れ制度をやめ、価格補償もなくし,入札を基本とする民間流通に移行、国産小麦を買いたたいています。

日本での小麦粉のシェアーは、日清製粉、日本製粉の上位2社で6割、さらに昭和産業、日東製粉を加えた大手4社が7割を独占、他の100社以上の中小業者が残りのシェアを分け合っています。
安全、安心の国産小麦を欲しいという要求は消費者や中小業者に強まっていますが、小麦の流通は輸入小麦に依存する大手製粉企業が一手に牛耳り、国産小麦の入手を妨げているのが現状です。

国産小麦を安楽死させたアメリカの「小麦戦略」
 ところで、日本での国産麦の生産は、1960年頃まではすてたものでなく、自給率も小麦39%、大麦にいたっては、108%と、完全自給していたのです。
それが15年後の1975年には、なんと小麦4%、大麦10%と急落し、その後は10%前後の低い自給率が現在まで続いています。

このように主要穀物の生産を短期間に急速に落ち込ませた国は世界にも例がありません。その原因は、アメリカが50年代半ばから60年代初めにかけて日本で大々的に展開した「小麦戦略」です。
「米食民族の胃袋を粉食に変える」と豪語した「小麦戦略」の柱は二つ。一つは学校給食にパンと脱脂粉乳を持ち込み、子どもという「未来の市場」を確保すること。もう一つは、「米を食べればバカになる」(大脳生理学者の林慶大教授の説)と言わんばかりの大キャンペーンを展開する一方、「キッチン・カー」(栄養指導車)を全国津々浦々に走らせてパン食を宣伝し、「現在の市場」獲得したのです。

その結果、日本の麦作は安楽死させられ、農村からは麦秋が消えてゆき、日本はアメリカの安定的な小麦市場に変えられたのです。(アメリカの小麦戦略については、高嶋光雪著『日本侵攻 アメリカの小麦戦略』家の光協会発行が詳しい)

GM小麦の作付け、販売を阻止するために
モンサント社は、すでに除草剤耐性のGM小麦「ラウンドアップ・レディー」の開発を終え、昨年12月にはアメリカとカナダで商業栽培の認可を申請。いま業界団体や関係国にさかんに働きかけを行なっており、商業化を阻止するための世論と運動を緊急に盛上げることが必要です。

日本は、アメリカ、カナダ小麦の世界最大の顧客です。
キャンペーンでは、9月16日に日本モンサント社と農水省に対して、アメリカ、カナダにおけるGM小麦申請の却下の働きかけと日本での申請や申請受付をしないよう申し入れをしました。また、9月18日にはアメリカ大使館、カナダ大使館に「GM小麦の商業化を認可し、日本に輸出したら、農産物の輸入をボイコットする」旨の申し入れをしました。製粉協会に対しても、消費者とともに、反対し、GM小麦を取り扱わない旨の意思を表してほしいとの申し入れをしました。

今後も、強い意思表示や抗議を関係国の政府、業界、生産者団体などに行なうことが必要です。首相官邸、農水省はじめ関係省庁、輸入食糧協議会、製粉業界、パン、製麺、菓子などの食品業界にも小麦のGM化反対の要請をしていく必要があります。
同時に、現在のアメリカ、カナダなど輸入小麦依存の麦政策を国産小麦の復興、自給率向上の方向に変えさせていくことも大きな課題です。そのために大豆畑トラスト運動のように、生産者と消費者が提携し、国産小麦を作り、食べる「小麦畑トラスト運動」を各地で展開していくよう提起したいと思います。

すでに香川県では、特産の「讃岐うどんは、讃岐の小麦で」と、これまで輸入小麦が大部分だった原料を、県産小麦の新品種「さぬきの夢2000」を県農業試験場が開発。県、JA,生産者、製粉業者、製麺業者が提携し、国産小麦の生産と地場産業の振興に取り組んでいます。

また埼玉県では、農民連と食健連が「安全な国産小麦のパンを学校給食に」と10年前から運動を続け、パン屋さんや県の協力も得て、県産小麦を使った「さきたまロールパン」が誕生。今年は県全体のパン給食の半分が県産小麦100%に切り替わる計画です。こうした給食に国産小麦を取り入れる動きは各地に広がっています

輸入小麦依存から、国産麦の生産、消費の拡大ヘ
日本では、昔から水田裏作、とりわけ米麦二毛作という世界でも例のない農民の知恵と優れた技術で、少ない土地で米と麦を生産し、これを主食にしてきたのです。
また日本には、「緑の革命」のきっかけともなり、世界の小麦を変えた「農林10号」作出のような優れた育種技術を持っています。アメリカやカナダの硬質小麦に勝るとも劣らないタンパク含量が多く、製パン特性の優れた新品種、「春よ恋」、「はるひので」「ニシノヒカリ」などが各地で次々育成されています。
GM小麦を拒否するためにも、輸入小麦依存の麦政策を改め、いまこそ国産小麦を見直し、生産、消費の拡大に大いに努力する時です。

遺伝子組み換え
GM小麦を止めるのは日本の消費者だ!


 9月4日キャンペーン会議に出席されて、遺伝子組み換え小麦の反対運動に取り組むことをよびかけられた北米バーモント州在住の金子千保さんのお話を紹介します。

 金子さんのパートナーは、ニューイングランド州で50%のシェアをもつ小麦会社であるキングアーサーフラワーのベーカリー部門の長です。無漂白小麦のパン作りにこだり、遺伝子組み換え小麦の安全性や環境への影響に危惧をいだき、会社として何らかの意思表示をすべきだと上層部に訴えました。それをうけて、会社は、遺伝子組み換え小麦に反対する声明を10月に出すことになったということです。会社としては、通常の小麦を売っているので、分別は困難ですから、「遺伝子組み換え小麦を売らない」とは言い切れませんが、粉屋がリスクがあるにもかかわらず、環境問題に配慮して「声明」を出すことは、大変勇気がいることです。

バーモント州では、タウンミーティングで、遺伝子組み換え食品に表示をつけさせる決議をあげるなど、市民の間では「表示がないのはおかしい」と思っている人は多いのです。しかし、大統領府の権力が強く、州の意思は無視されているのが現状です。

 2002年秋、オレゴン州で表示義務付けを求める住民投票が行われました。このとき、モンサント社は莫大なお金をつぎ込んで表示に反対する大キャンペーンをはりました。「表示をすると550ドルも家計費が増えて、消費者だけでなく農家も加工メーカーもみんな損をする」とTVコマーシャルを流し、チラシをまいたのです。その結果、多くの市民が投票に行かなかったために、住民投票では負けました。もちろんFDA(食品医薬局)をはじめアメリカ政府からの強い圧力もありました。モンサント社は、ブッシュ政権のもと、いまや「国営企業」です。

 市民の間では徐々に遺伝子組み換え食品に対する反対運動が起きてきていますが、政府の力が強く、下からの草の根運動は成果をあげていません。アメリカの小麦の国内消費は50%で、あとの50%は輸出されています。日本はエジプトに次ぐ第2の輸出国です。日本の消費者が食べないという意思を伝えれば、アメリカの農家は遺伝子小麦を作らないでしょう。ぜひとも反対運動に取り組んでください。

    *    *    *

 キャンペーンでは第2の主食である小麦について、遺伝子組み換え小麦の反対運動に取り組んでいきます。
カナダでは、農家や輸出担当局が遺伝子組み換え小麦の栽培をすすめているモンサント社に強い反発を表しています。通常の小麦に遺伝子組み換え小麦が混ざると、大口取引先である日本などへの輸出に悪影響が出るとして「あらゆる手段で対抗する」と言っています。このような人々と連動して反対運動を進めていきます。 (小野 南海子)


2003年9月18日付け、製粉協会
(近藤 和威会長)への要請書

消費者とともに、遺伝子組み換え小麦に反対してください


 私たちは、遺伝子組み換え作物に反対している生産者、消費者、流通業者の広範なネットワークです。
私たち日本の消費者の大半は、遺伝子組み換え食品に反対しています。多くの世論調査で、8割以上の人が食べたくないと思っており、9割以上の人が消費者が選択できる正確な表示を求めています。また、消費者が反対の意志を貫いているため、商業栽培も行われておりません。

 私たちの食べ物の、輸入への依存度は高く、とくに小麦は稲に次ぐ主食として、麺類、パン、デザートなどの形でほとんど毎食に近い形で食卓に登場しています。モンサント社が除草剤耐性小麦を2002年末に米国、カナダ政府に申請しました。もしこれが認可されると、作付けされ、日本に入ってくる可能性が強まります。

 また、大麦やライ麦など麦類への遺伝子汚染が起き、小麦以外の作物にも悪い影響が広がります。
 私たち日本の消費者は、遺伝子組み換え小麦を拒否します。もし遺伝子組み換え小麦が認可され、商業栽培が始まるような事態になれば、全面的に麦類の輸入を拒否する取り組みに着手いたします。

 先日、貴協会の理事の重田勉氏が「遺伝子組み換え小麦を認めると言うことは、日本の小麦市場においてアメリカ産小麦が駆逐されることだ」と発言されたとの報道がありましたが、日本の消費者の意見を強く代弁するものです。私たちは、遺伝子組み換え小麦の認可申請が出されている米国、カナダに、別紙のような申し入れをしております。また、開発会社であるモンサント社や、日本の農水大臣あてにも同様の申し入れをしております。

貴協会におかれましても、遺伝子組み換え小麦を取り扱わない旨の強い意思表示を輸入元に示していただきますよう強く要請いたします。
(古賀 真子)

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