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古賀真子
2月23日、カルタヘナ法の施行に合わせ、遺伝子組み換え作物の野外での実験栽培に関する、「第一種使用規定承認組換え作物栽培実験指針」が承認されました。国(農水省)の研究機関である独立行政法人(以下、独法)の研究所で行う同種栽培作物の栽培実験に適用されますが、農水省は地方自治体や民間の研究所での栽培指針の参考にと強調しており、今後の国内での栽培実験のモデルとなると思われます。
現在、独法で屋外の実験栽培が始まっているのは7作物ですが、同日には議論もなくバレイショも入れられました。イネ、ダイズ、トウモロコシ、西洋ナタネの4作物については栽培実験での研究所内外での花粉の飛散による同種栽培作物との交雑防止のための隔離距離を設定しトマト、ワタ、アルファルファの3作物は交雑防止の隔離距離のデータがないため、袋かけやネットで覆うなどの対策が決められました。他に研究所内での収穫物や実験材料への混入防止措置、情報提供、管理体制の整備などが盛り込まれました。
交雑防止のための花粉源からの距離と交雑率のデータは、「国内外の信頼できる文献を可能な限り収集した」との農水省の回答とは裏腹に、実際のデータは古いもので、イネ・トウモロコシは5、ダイズ・ナタネは2データしかありません。イネは、10m前後でほぼ交雑が生じないから20mでは交雑が生じない。トウモロコシは、800mで0.12%の交雑、ナタネは2km〜3kmでも0.15%の交雑が見られ、風や虫により花粉が長距離飛ぶことを認めつつ、「交雑率をゼロにするための隔離距離設定は難しい」として距離を決めています。
農水省は01年度から独法の研究所で非組み換え作物との環境影響比較実験を行っていますが、そこでの研究結果などは反映されていません。栽培面積が広ければ花粉の飛ぶ量は増えますが、独法の栽培実験は小規模であるから問題ないとされています。自家受粉作物が他家受粉の傾向を強めたとされるシロイヌナズナの実験なども頭から否定されており、組み換え作物の特性が考慮されておらず、今回の独法指針で交雑を防げる保障はありません。
| 栽培実験対象作物別の隔離距離(案) |
| 栽培実験 |
同種栽培作物等との隔離すべき距離 |
| 対象作物 |
| イネ |
20m |
| ダイズ |
10m |
| トウモロコシ(食品安全性承認作物及び飼料安全性承認作物に限る) |
600mまたは防風林がある場合は300m |
| 西洋ナタネ(食品安全性承認作物及び飼料安全性承認作物に限る) |
600mまたは花粉及び訪花昆虫のトラップとして1.5m巾の非組み換えナタネを開花期間が重複するように作付けた場合は400m |
この指針の隔離距離さえ守れば実験栽培が可能となれば、研究機関での実験圃場での栽培頻度が高まり、遺伝子汚染の機会が増えることが危惧されます。野外栽培が積極的に行われているのは、独法が開発しているGM米とモンサント社の息のかかったバイオ作物懇話会による作付けがされているGM大豆です。GM米はキャンペーンが、全国的な署名活動を展開し、試験場の地元では交渉や集会がくりかえされてきた結果、各地で開発中止に追い込まれています。
一方のバイオ作物懇話会の作付けを巡るトラブルから、各自治体では独自の栽培規制の流れが出ています。茨城県、岩手県は自治体レベルで栽培を認めない指針を打ち出しました。GM推進派や研究者の規制に対する反対の意見書なども出る中で、北海道でも規制指針ができました。今後各地に広がることが期待されますが、指針に留まらず、各地で野外での栽培に対する強い法規範力を持った規制条例の制定運動を押し進めることがますます重要となります。
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