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■ひろがる深刻な亀裂
世界貿易機関(WTO)の最高議決機関である閣僚会議が11月9日〜13日に中東のカタール・ドーハで開かれ、新たな多角的貿易交渉(新ラウンド)の立ち上げが議論される予定です。
新ラウンドは2年前、閣僚会議が決裂した「シアトルの失敗を繰りかえすな」「ドーハが失敗すれば、WTOの求心力が失なわれる」と、先進国が途上国の取り込みに全力をあげ、シンガポールでの非公式閣僚会議、上海でのAPECなどを通じ立ち上げ準備を進めています。
しかしWTO発足から6年余。「アメリカ一極集中」の経済のグローバル化がもたらした亀裂が深まっています。WTO加盟142カ国のうち4分の3を占める発展途上国は,「現行WTO協定自体が途上国に不利。まずこの是正からはじめるべきだ」と主張。途上国やNGOからWTOのあり方そのものに厳しい批判が向けられ、新ラウンドの立ち上げを疑問視する意見も出ています。
■自由化の強要と家族農業の破綻
とくに農業・食料問題は、WTO農業協定の結果、農産物自由化が強要され、途上国では「安い穀物」輸入の拡大によって食糧生産を破壊。日本も野菜、果実、米の輸入が氾濫し,減反は40%に及んでいます。アメリカ、カナダの食糧輸出大国の農民も多国籍企業の買い叩きに苦しむなど、世界的に家族農業が破綻し、巨大な多国籍企業だけが利益をむさぼるという構造がますます強まっています。
一方、消費者にとってもWTO体制の6年間、激増する農産物輸入による残留農薬の危険、遺伝子組み換え食品による健康不安のたかまり、さらに最近は、動物性家畜飼料の輸入による狂牛病発生など私たちの食卓の安全を脅かす事件が相次いでいます。
■日本は農業が最大の課題
新ラウンドで、農業は日本にとって最大の課題であるだけでなく、各国が激しく対立している分野です。
アメリカは「農業こそ新ラウンドの核心」と位置づけ、日本に関税の大幅削減や特別セーフガードの廃止など,農産物のいっそうの市場開放を迫っています。
オーストラリアなどケアンズ・グループ(補助金なし輸出国)は、農産物を工業製品と同等に扱うべきだと主張し、大幅な自由化を要求しています。
■EU,「予防原則」で指針作り提案
一方,欧州連合(EU)は「環境への配慮を貿易ルールに反映させるべきだ」と主張し、環境保護を足がかりに農業保護をはかつています。さらにEUは、農業交渉で遺伝子組み換え食品の安全性確保のため「予防原則」に基づく輸入規制のガイドラインを作るよう提案しているのは注目されます。
これに対して日本政府は、現在の農業協定の枠組みを基本的に認めながら、「農業の多面的機能」を前面にミニマムアクセス(最低輸入機会)やセーフガードの「改善」を求めていくとしています。しかし日本農業を崩壊の危機に追い込んでいる現行協定に依拠するのでなく、米などを自由化の対象から外し,各国の食料主権を認める公正な貿易ルールとするためWTO協定の抜本的改定を要求していくことが重要です。
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