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遺伝子組み換え花粉症イネ見学記
於:平塚 JA全農・営農・技術センター

今春、つくばの隔離圃場で遺伝子組み換え花粉症イネの実験栽培が行なわれる。医療用の遺伝子組み換えイネの野外実験は日本で初めてである。
昨年12月28日、神奈川県平塚市にあるJA全農営農・技術センターで温室栽培されている遺伝子組み換え花粉症イネを天笠、小野、名和の3人で見学した。このセンターは昭和36年に神奈川県の農業関係者の敷地を購入して作られたもので、43年目になる現在は平塚の工業団地の中に農業関連施設、広大な栽培地を要している。全国約900のJAから農業技術を学ぶ人が派遣される、唯一の研修施設でもある。また、生産部会、食育についての取り組み、生活事業関連、食品検査などさまざまな事業も行なっている。見学には、全農営農総合対策部から金田技術主幹他3名が説明にあたった。

この遺伝子組み換え花粉症イネは、生育の期間が短い北海道のキタアケという品種から作られたものである。昨年5月に野外の隔離圃場において栽培実験される予定であったが、市民の反対によって温室に変更された。この温室は面積114u(約1a)、約1000万円をかけて改修された。9月13 日と20 日の2回に分けて田植えをし、12月末と今年1月初めに稲刈りされた。この栽培実験の目的は、東京大学と慈恵会医科大学で行なわれるマウスの食餌実験用の玄米40sを確保するためであった。しかしこの温室栽培では、当初目標の玄米12sをも下回る8、9s程度の収穫しかなく、実験で必要とする40sを大きく下回った。

 今後の予定は、2月10日前後に田植えをし、5月に収穫する。次にお盆明けに田植えをし、12月に収穫する予定である。今後、マーカーフリーの品種ができるので、秋の作付け品種は未定という。収量は少ないが、全農における温室実験は2006年まで当初予定通り行なわれる。

説明を受けた後、温室を見学した。入り口の小部屋で白衣を着て、長靴に履き替えた。2つの小さな人工田んぼの中に刈り取り直前でありながら貧弱な稲が並んでいた。3列ほど従来のキタアケが植えられ、残りが遺伝子組み換え花粉症イネである。分けつが少なく、丈も短く、全体に実入りが悪いのが一目でわかった。このキタアケは北海道の気候にあった品種で、分けつしながら出穂する。出穂期に低温になってしまい、それで不稔が多くなったという説明であった。温室での栽培は管理が難しく生育が悪いと言っていたが、温室内は33℃あり、カメラのレンズが曇るほどである。夜間、20℃を切ると冷害を起こしてしまうそうだ。

これは、何のための実験なのか。これまで開発された医療用のGMイネは不稔が多く、小粒で丈も短かく、収量も少ない。どれも商品化にはほど遠いことは、消費者にとって嬉しいことだ。
しかし、世界のゲノム競争に勝つために国の予算を使い、環境を破壊する遺伝子組み換え作物を開発するのにどのような意味があるのだろうか。特に全農にはGM作物の開発や特許の獲得ではなく、日本の農業をどうするのか、今以上に真摯に取り組んでもらいたいものである。

(名和雪子)

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