遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
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コーデックス・バイオ特別部会
遺伝子組み換え動物、栄養強化食品の安全性
評価のガイドライン作成始まる

市民セクター政策機構 清水亮子

9月19 日から23 日にかけ、千葉の幕張メッセで「第5回コーデックス・バイオ特別部会」が開催され、50 の加盟国、4の国際機関、15 のNGOから152 人の参加がありました。キャンペーンのメンバーとしては、日本消費者連盟の山浦康明さん、真下俊樹さんがCI(国際消費者機構)の代表として、そして清水がICA(国際協同組合同盟)という協同組合の国際組織の代表として参加しました。この特別部会は2000 年から2003 年にかけて第1ラウンドが4年間開催され、今回は「第5回」になります。今回のラウンドも4年間開催されます。

2003 年までの第1ラウンドでは、「遺伝子組み換え食品のリスク評価のための一般原則」「組み換えDNA植物由来食品の安全性評価のためのガイドライン」「組み換えDNA微生物を使用して作られた食品の安全性評価のためのガイドライン」の3つの文書が採択されました。第2ラウンド1年目の今回は、今後議論すべきテーマについてのフリーディスカッションから始まりました。コーデックスは専門的用語が飛び交い、とかく敬遠されがちですが、WTO(世界貿易機関)が貿易紛争の際に参照する国際機関として定めて以来、一躍重要な機関になりました。

WTOルールの下では、コーデックスの基準より厳しい基準を各国が設けるためには、「科学的に正当な理由」を示す必要があります。牛肉の全頭検査も「科学的でない」と言われてしまうような世界です(これについてはコーデックスではなく、OIEという別の機関ですが)。とういうわけで、たとえば「BIO(バイオテクノロジー産業機構)」のような業界団体が“国際NGO”として出席し、できるだけ緩やかな基準ができるように活発に発言しています。私たちのような消費者の利益を代表する本当の意味でのNGOも、できるだけ厳しい基準ができるようにがんばらなければ、と思っています。

EUは未承認の混入を認める方向?

今回の第5回特別部会では、事前に各国政府やNGOがコメントを提出し、どんな議題について話し合うべきか、話し合うべきでないのか、意見を表明していました。この中で困ったコメントだったのが、EU(欧州連合)が「未承認組み換え植物の微量混入の安全性評価」を最優先課題としていた点です。よく知られているように、EUは、トレーサビリティに基づく表示制度など、遺伝子組み換え作物については厳しい規制を行っています。こともあろうにそのEUが未承認の混入を認めるような議論を始めてしまえば、日本の消費者としても、日本政府に対して未承認の混入を追及する足がかりを失いかねません。EUは、EC(欧州委員会――基本的に遺伝子組み換え推進)とEU加盟各国(遺伝子組み換えに反対する立場の国も多い)で「European Community」という代表団を組んでコーデックスに参加していて、このグループの中でコンセンサスをとりながら発言します。この発言は欧州委員会によるものだったようで、欧州委員会が何を目指していたかは会議News Letter Vol. 89 5の中で明らかになってきたのですが、たとえばOECD(経済協力開発機構)などの国際機関に安全性評価についてのデータを蓄積し、ある国ですでに安全性承認が下りていて、かつそのようなデータベースに申請データがある場合には、他の承認していない国でもある程度までは混入を認めよう、という議論でした。幸いEU加盟各国の反対が大きく、今回は、議題として進めることを断念しました。

日本政府は業界代表?

もうひとつ困ったのは、日本政府が提案した「スタック・ジーン」植物の安全性審査についてでした。スタック・ジーンとは、すでに承認済みのRR トウモロコシとBT トウモロコシの掛け合わせの場合、改めて安全性審査を受けなくてもいい、という日本の食品安全委員会の立場をそのまま世界標準にしようとする試みでした(日本ではすでにいくつか承認されています)。しかし、これも「スタック・ジーン」の定義がはっきりしないなどの理由から、新たな作業の対象とはならず、これにもほっとしましたが、日本政府の業界利益を代表した立場は、今後監視を強めて抗議していかなければなりません。その他、いくつかの政府が提案していた「生理活性物を発現する植物」「医薬品成分、非食品成分を発現する植物」(スギ花粉症緩和米、ワクチンを生成するための植物など)、そしてクローン動物は、コーデックスの対象外として議題として取り上げられませんでした。

大いにもめた遺伝子組み換え動物

来年からの議題として決まったのは、「組み換えDNA動物由来食品の安全性評価のためのガイドライン」「栄養あるいは健康上のメリットのために改変された組み換えDNA植物由来食品の安全性評価」(ビタミンA米など)の2つのテーマです。遺伝子組み換え動物については、特に魚など市場に出る可能性が高いことから議論が開始されましたが、動物を取り扱うにあたって一番議論が集中したのが、倫理面、環境面などへの配慮をコーデックスとしてどうするのか、という点でした。宗教を含めた倫理面、環境への配慮、動物福祉などを、安全性評価のガイドラインの中にきちんと定めるべきだという立場の国々と、コーデックスは食品の安全性を科学的観点にのみ基づいて評価すべきという立場の国々が真っ向から対立しています。コーデックスの「手続きマニュアル」では「他の正当な要因」(OLFs)という考え方の下で、環境、消費者懸念などについて考慮することも可能です。今回の会議では、OLFsの中で具体的に何を取り扱うかを次回からの議論に預けるという妥協の上で、次回からこのテーマで議論に入ることに決まりました。それにあたっては、日本とオーストラリアを議長国とする作業部会が結成されました。

栄養改変食品は本当に途上国のため?

栄養成分を改変した植物については、主に議長が途上国に対するメリットを強調したのが気になりました。ビタミンA米のほかにも栄養強化をしたソルガムなどが開発されており、途上国利益がある作物として会議の中では語られていましたが、その有効性については疑問です。今回からはWHOとFAOが設けた「トラスト・ファンド」から資金を受けた途上国からの出席が前回までの部会に比べて増えたという印象ですが、この点について、途上国を巻き込んださらなる議論が必要です。第6回バイオ特別部会は、2006 年11 月27 日(月)から同じく千葉の幕張で開催予定です。

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